浦井ライトと柿澤ライトの違い(デスノートミュージカルネタバレしてます)

注意!ネタバレしてます!
 
 
 
デスノートミュージカルは主人公のライトがWキャストだった。
 
柿澤ライト4回、浦井ライトで1回見た。
 
特に柿澤君のファンということではなく、(私は鹿賀さんのファン)
 
私の予定が空いている日を選んだら、柿澤ライトに偏ってしまった。
 
Wキャストだと違うのは当たり前だが、雰囲気が違うというレベルではなく、
 
違う話のようにさえ見えた。
 
 
 
柿澤ライトを3回見た後、浦井ライトを見た。
 
あまりの違いに驚いた。
 
 
 
柿澤ライトには狂気があまり見えない。知性も感じられない。天才故の孤独感もなく、どこにでもいる少年。クラスに一人はいるような、勉強ができる優等生という感じだ。
 
これは、以前スリルミーの舞台を見た時に柿澤君に対して同じように感じたんだけれども、スリルミーで柿澤君演じる「彼」はニーチェを愛読しているようなインテリジェンスを持った人間には見えなかった。
 
だけれども、デスノートのライトはそれでも良いと思った。
 
どこにでもいるごく普通の少年が歪んだ価値観を盾に、人を殺しまくる。
 
インターネット大好き、ネットで理論武装した、アホな今時の少年像が浮かび上がる。
 
本人は純粋無垢なのに、やっていること言っていることは全て狂っている。純粋故に、間違っていることに気がついていない。
 
ただし、Lのプロファイリングと一致していないように思う。幼稚ではあったが、負けず嫌いなのは柿澤ライトからはあまり伝わってこなかった。
 
 
 
一方、浦井ライト。狂気が爆発し、2幕になると、舞台全体を支配する。顔つきにとどまらず、声質や歌唱方法も変わっていく。
 
天才故に自分に絶対的な自信を持ち、家族、女、死神さえもだまして利用する。
 
心を支配し、自分にとって心地良い世界を作るために画策する。
 
サイコパスな殺人鬼がそこにいた。
 
 
 
ライトがリュークに「死神の殺し方はないの?」と一幕で聞くシーンがある。
 
柿澤ライトは純粋に不思議に思って聞いているのかな?と感じたが、
 
浦井ライトはリュークに殺意を持っている。疎ましく思っているか、もしくは死神を殺せば、自分の死を回避(永遠の命を手に入れる)出来るのではないかと考えているのだろうと感じぞっとした。
 
リュークとの関係性も違う。柿澤ライトは普通にリュークと会話をしているが、浦井ライトはリュークの質問にぼそぼそと返事をする。会話というよりもほとんど独り言だ。自分の意見を声にしているに過ぎない。相手の話は聞いていない。
 
 
 
どちらのライトが良いか?と問われると難しい。
 
 
 
浦井君は王子のような顔をしているのに、ライトを演じている間は涎まみれになりながら、狂気に酔いしれた悪い表情をして歌う。完全に狂っていて見ていて気持ちが悪い。歌も柿澤君より声量があり圧巻だ。テニスのシーンも負けず嫌いが露呈して迫力がある。舞台全体をライトの狂気で支配する。キラのカリスマ性が見て取れる。
 
しかし、あまりにもライトの狂気が強すぎて印象的なので、他の関係性が見え辛くなってしまう。レム、ミサ、父親、妹、L、全ての印象が薄くなってしまう。浦井君のライトを前にすると他の役柄が全て脇役となり霞んでしまう。
 
特にLとの関係性。柿澤ライトとLはコインの表裏、表裏一体、最後までライバルのように見えた。けれども、浦井ライトとLとの関係は浦井ライトの方がはるかに強く、Lは終始追うだけで負けるのが確定しているように見える。テニスのシーンから最後までずっと。
 
 
 
柿澤ライトは、他の登場人物の関係性が明確に浮かびあがる。レムとミサ、父と子、妹と兄、ミサとライト。同じ脚本であるのに丁寧に描いているように見える。
 
 
 
原作に近いのは浦井ライトかもしれない。天才・狂気を持っている。
 
しかし、群像劇として見たいなら柿澤ライトなのかなという気がした。
 
浦井ライトは群像劇の要素が半減していたような気がする。
 
私のご贔屓の鹿賀さんを楽しめたのも柿澤ライトの方だった。
 
浦井ライトの時は迫力がすご過ぎて、他の人物を見ている余裕はなかった。
でも、浦井ライトの方が私は好きかも。人間の狂気を見るの大好き♡